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Acoustics 2012

 2012年5月13日~18日の6日間,香港の香港島にある香港会議展覧中心にて,Acoustics 2012 (http://acoustics2012hk.org/) が盛大に開催されました.この会議は,3年に1度開催される音響研究の重要な国際会議の一つであり,日本からも多くの方が参加されており,フォーラム幹事数名も参加していました.今回は,フォーラム幹事以外の学生の方々に体験記を依頼し,報告したいと思います.
 会議の雰囲気は,世界中から様々な分野の音響研究者が集まっており,セッションによっては,席を埋め尽くすほどの聴講者がおり,活発な議論が行われていました.会場のエントランスホールでは,音響機器メーカーによるデモを交えた展示会も連日開かれていました.このホールでは,個別にディスカッションをしている風景もよく目にしました.

[音声言語]
久保 理恵子さん(北陸先端大)
「Effects of perceptual training on the ability of elderly adults of Japanese speakers to identify American English /r/-/l/ phonetic contrasts」
 会場では,研究内容以外にも興味が引かれたことが大きく二点ありました.
 一点目は,セッションによる活気の差です.活気があって参加者が楽しげなセッションでは,発表者の意図をくんだコメントが多く出ていました.研究では,誰かの興味が他の人と完全に一致することはまずありません.その分野の知識が不十分でも有益な議論へ導きたいものです.私のポスタ発表時,アメリカの先生が研究の背景や意図を生徒に説明して理解を深めさせる光景がありました.このような指導が他者の研究に対する敬意をはぐくみ,議論ひいては研究生活の楽しみにつながるのかもしれません.
 二点目は,伝達手段としての言葉です.アジア圏の発表者が多かったですが,発表と質疑応答ともに流暢にこなしていました.研究内容は勿論ですが,伝え,議論するための手段としての言葉(英語)も向上の必要性を感じました.

[音声認識]
安藤 厚志さん(名古屋大)
「Multi-band speech recognition using band-dependent confidence measures of blind source separation」
 国際会議で発表を行うのは初めてであり,多くのことを学んだ.まず,英語力を磨かなければならないと感じた.説明もたどだとしく質疑にも的確に答えることができなかったことから,もっと対話の練習をすべきだった.また,僕が参加したポスターセッションは聞きに来る人が予想以上に少なく,オーラルで発表した方が多くの人に聞いて貰えたかもしれないと思った.滞在に関しては,夕食を先生に御馳走して頂いたりと,大変楽しく過ごすことができた.今後も研究を頑張り,是非また国際学会で発表を行いたい.

[音楽]
川渕 将太さん(名古屋大)
「Data collection for individuality analysis on subjective music similarity evaluation」
 外国に行くのは初めてでしたが、香港には日本の店(セブンイレブン、ユニクロ、吉野家など)が多くあり英語も比較的通じる(らしい)ので、生活面で困ることは殆どありませんでした。沖縄よりも緯度が低いので、5月にしてはかなり暑く湿度も高かったです。感覚的には日本の夏と似ていると思います。
 国際学会で発表するのも初めてだったので多少緊張しましたが、口頭発表だったので言うべきことを覚えていれば全く問題はありませんでした。ただ、質疑応答には多少苦しみました。日本人の発表者は、発表そのものは問題無いが質疑応答で苦しむ人が非常に多かったです。発表練習だけでなく、質疑応答の練習を(できれば外国人と)数回やってから行けば発表に対する印象が随分変わるのではないかと思いました。

[室内音響]
森田 翔太(北陸先端大)
「A modulation-transfer-function-based method for restoring sub-band power envelope from noisy reverberant speech」
音響学会の全国大会ではポスターで発表していましたが,国際会議ではオーラルの経験しかなく,今回始めてポスター発表でした.発表形式は,オーラル会場の後ろにポスターを貼るボードが用意されており,セッション開始までに自分のポスターを貼って置きます.そして,自分の持ち時間になったら,ポスターの前に立ち,聴講者が来たら個別に説明するという形式でした.初めての形式で戸惑いはあったものの,無事に発表を終えることができましたが,聴取者の関心を引くことが難しい発表スタイルで,物足りなさを感じました.
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